立春の若水(秋篠野エッセイ)

その年の気が本格的に流れだすのは立春から。せめぎ合っていた前年の気と今年の気が、ぴたっと落ち着くのはこの日の午前四時です。(2021年の立春は2月3日)

立春の日の午前四時の若水にはまた特別な気が充ちています。

それは「水の華が咲く」と称されるほどの、清廉で清浄なエネルギー。元旦の大福茶と同様、立春の朝は若水を汲み、お料理やお茶に用いましょう。

インフルエンザや風邪が流行る時期でもあり、こうして立春の気を体内に取り入れることは心身を守るためにも大切なのです。

体の中に良い気が流れていると、自然と笑顔も多くなるはずです。

よく知られているように笑いは免疫力アップに効果を発揮しますから、このことから見ても体内に良い気を取り入れるのは大切です。

気を体感できるようになると、立春の朝にお正月とよく似た清らかで 新鮮な空気が漂うのが感じられます。すると自然と心があらたまり、背筋がしゃきっと伸びることでしょう。

立春の朝は特別な大切な朝なのです。

そして、「新年の決意」を実行に移すのも、この日からです。

冬至に流れ始めた陽の気は、立春を境にどんどん強まっていきます。次第に日脚が長くなり、よく見れば木々の枝にも小さな蕾が芽吹き始めます。

いわば自然=宇宙のリズムが「始まり」のリズムになっているのです。

生活の中の「新しいこと」を立春以降に始めるのも、こうした自然のリズムに添う、理にかなったことなのです。

そのことをわかって行動すれば、「今は自然も味方してくれているのだから」と自信を持って向かっていくことが出来ますよ。

秋篠野安生 著書『「気」の12ヶ月 季礼で暮らしを浄化する』より