十五夜と十三夜(秋篠野エッセイ)
2020年10月1日は十五夜。
中秋の名月は空を見上げて、月の光を浴びましょう。
1年で最も丸く整った月の満ちた光をしっかり身体に取り入れると、免疫力が高まり、運気もアップします。
日本では十五夜だけでは片見月になるため昔はこれを忌み嫌い、十五夜と十三夜の月を愛でる風習があります。
もともと中国の十五夜の月見が伝来する以前は、日本古来の月祭りは十三夜でした。十三夜は「栗名月」「豆名月」と言われ栗ご飯をいただく習慣があります。
十五夜は旧暦八月十五日、十三夜は旧暦九月十三日(今年は10月29日)
お月見にはこのような話もあります。
古代インドの思想では、人間界は七つの山と七つの海でできており、その中心となる最高峰の山である須弥山(しゅみせん)には帝釈天が住んでいるとされました。
帝釈天は十五夜と十三夜に人間界を宝鏡を持って人間世界を見渡して、人が善行に励み悪行に走らないよう見守っています。
手には宝網(帝綱)を持っており、その結び目は水晶の宝の珠で出来ています。珠は世界に住む一人ひとりの心で、ひとつの心がとなりの結び目の心に話しかけると水晶の珠は光り輝き、それがさらにとなりの結び目の心に伝わります。こうして次から次へとまるで鈴の音が鳴り響くように伝わるのです。
宇宙の全ての生命は綱の目のように繋がり、無駄なものは一つもなく、水晶の輝きで照らし合い、響き合う事でなりたっているというわけです。
十五夜と十三夜の夜になると、帝釈天は宝鏡を持って人間界を訪れます。そして、宝網の目から闇の底に落ちて光を失った珠を受けとめます。すると珠は再び光を放ち響きあうようになるのです。この帝釈天の宝鏡の形代(かたしろ)がお月様なのです。
お月見にはこんないわれもあることを思いつつ、お月様の光をたっぷりと受けとめましょう。